臨床工学技士と内視鏡業務(胃カメラ編)
2月 18, 2005 — 20:05

臨床工学技士の中で内視鏡補助業務は割とマイナーな業務のようです。
内視鏡には主に胃カメラ、大腸ファイバー、ブロンコ(気管支)ファイバー、オペ用内視鏡などがあります。基本的な構造はだいたい同じですが、太さや長さが違います。私は前の病院で胃カメラ、大腸ファイバー、ブロンコファイバーを用いる内視鏡補助業務に携わっていました。そこで経験した事、業務の概要などを数回に分けて書こうと思います。
「胃カメラ(GIF)」
口から食道、胃、十二指腸上部までを検査する内視鏡です。通常の検査の他に、吐血時の緊急診断、潰瘍の止血や、生検(細胞組織を採取して詳しく検査する)、ヘリコバクターピロリ菌の検査、EMR(内視鏡的粘膜切除術)、PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術) 、EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術)などにも用いられます。
「吐血」
胃潰瘍などで口から血を吐くものです。緊急検査の際、壁一面に血が飛び散る事も珍しくありません。クリップやトロンビン散布など内視鏡的処置で止血が困難な場合は外科オペ適用になります。院内にある輸血が足りなくなるぐらい出血してた事も何度かありました。吐血時は血で窒息しないように患者の顔を横に向けましょう。
「胃カメラの構造」
ファイバーの中・先端にはカメラ、ライト、吸引管、送気・送水管、鉗子管などがある。鉗子管を通じて生検クリップや治療器具を挿入します。
「生検鉗子」
細長い棒(針金?)のようなもので、先に鉗子(マジックハンドのような物)があり、手元で開閉操作を行う。感染防止のため、最近はほとんどディスポーザブルの物を使うようだ。これをファイバーの手元から挿入すると、ファイバーの先から鉗子が出てくる。モニター画面を見ながら、目的の細胞組織を掴み、引きちぎって採取します。組織の他に、誤飲した異物などを取ることも。10円玉を飲んでしまった御老人とかもいましたね。厚みがあって重いから意外と取るのが大変なのよアレ。
「寄生虫」
一度だけ胃に寄生していた(胃壁に刺さっていた)虫を生検鉗子で採取した事があります。内視鏡の操作は医師が、鉗子の操作は私が行いました。モニタを見ながら、医師の指示で慎重に、虫が潰れないように、そ~っとつまんで取れた時はホントに嬉しかった~。
「臨床工学技士」
胃カメラの検査を行う際には胃の動きを止める薬ブスコパンや、侵襲を和らげる為の麻酔薬を使用する事が多いです。そういう薬剤は静脈注射で投与しますが、臨床工学技士は法律上、静脈注射が行えないため、看護師が注射に来てくれないと検査が始まらない。看護師が忙しくて席を外した時なんかに寂しく待つことも。注射さえできたらな~って。
参考リンク
内視鏡COM
臨床工学技士の業務指針

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